明日も精神科医

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Posted by kobayashi_kei on

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やる気は才能か

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「なんかやる気がおきない」は、おそらく全人類共通の悩みです。

それをやればいいことはわかっている、やらなければいけない理由もあるし、時期も差し迫っている。やらないときっとみんなに迷惑をかけるし、けっこう怒られてしまうだろう。でもなんかやる気が起きない。やろうやろうと思いつつ、気がつけばテレビを見たりツイッターを眺めたりしている間に貴重な一日がボンヤリと過ぎてしまう…。
恐ろしいですね。

「元気があればなんでもできる」「その気になれば人間なんでもできる」と人は言います。確かにその通りですし、さも当然のように誰もがフルスロットルでやる気全開になれると思われがちですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

"意欲"の障害は、精神科臨床では比較的よく見られる症状です。うつ病で気分がふさぎ込んでいれば何もする気が起きないし、統合失調症が慢性化すると意欲や感情、思考能力の鈍麻が生じ、社会復帰へのエネルギーが大きく損なわれます。
前者は気分を上げることができれば大きく改善することが期待できますが、後者は改善が非常に難しいケースが多く、薬もなかなか効きません。家族や医療スタッフがどれだけ強く促しても、より良く生きようとするやる気そのものが立ち上がらないため、生活保護からいっこうに抜け出せなかったり、入院生活が延々と続いてしまうこともあります。


身体には何の問題もなく、精神的にもまったく元気そうな人に「でもどうしてもやる気が出ないんですよね」と言われると、つい反射的に「いや、やる気出せばいいじゃないですか」と思ってしまいます。
「どうしてやる気が出ないんですか?」「どうしたらやる気が出るんでしょうね?」と聞いてみても大抵はモヤモヤとした回答しか得られず、「それがわかれば苦労しないんですけど」と言わんばかりのリアクションにこちらもだんだんと辟易としてしまい、一生懸命打開策を見いだしていこうとするやる気も削がれていきます。

しかしこのやりとりは「どうしても速く走れないんです」という人に「速く走ればいいじゃないですか」「どうして速く走れないんですか?」「どうしたら速く走れると思いますか?」という返答と同じことを聞いている可能性もあり、本来なら個人差の大きい資質(才能)を、「人間だれもが高いやる気を出せて当然」と誤解することで、絶対に交わらない平行線を辿ってしまっているのかもしれません。

とはいえ厄介なのは、「速く走りたい」と思ったら速く走ろうと思うやる気を出して努力すれば多少なりとも速くなれますが、「やる気を出したい」と思ったらやる気を出そうと思うやる気を出さなければならず、結局その根本的なエネルギーが弱ければどうにもこうにもならないということです。


やる気が起きないことに何らかの病名をつけたり、やる気のある人は自分とは違う"やる気の出せる才能"のある人だと思うこともできなくはないですが、残念ながら社会はそんなに甘くなく、「やる気がない」のみを広い心で擁護してくれるほど優しい世の中ではありません。
それでもどうしてもやる気がない人がより良く生きるためにはどうすればいいのかと聞かれると難しく、「やっぱりやる気を出していくしかないんじゃないですかね」と身も蓋もない返答をしてしまいます。

故事に学ぼうと"ものぐさ太郎"で検索してみましたが、全然参考になりませんでした。凄まじいですね、この人のやる気。
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/otogi/mono/monokusa.html

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