明日も精神科医

スポンサーサイト

Posted by kobayashi_kei on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

思い切り

Posted by kobayashi_kei on   0 trackback

最近いろいろなところで「思い切りがよくなった」と思うことがあります。

料理をしていてザクザクと野菜を切れるようになったり、ちょっと高めのコンサートのチケットをぽんと買えるようになったり、友達に電話する時に「あ、電話しなきゃ」ですぐに電話できるようになったりしています。
できるようになれば何でもない事ばかりですが、以前はこうしたことにいちいち悩んだり迷ったりして、無駄に時間とエネルギーを使ったものでした。

精神科の仕事をしていても同じような実感があり、以前に比べて思考にかかる時間が減り、処方する薬の量が減り、患者さんの話を聞く時間も減った気がします。
こう書くと効率的で機械的な医者になっていると批判もされそうですが、今のところ大きな失敗はなく、患者さんから受ける治療の手応えも、以前より良くなっている気がします。
「手を抜く」と「無駄を省く」はどちらも仕事のスピードを上げるための方法ですが、目指すところはまったく違います。シンプルで思い切りをよくすることで、仕事はわかりやすく質の高いものに変わっていくはずです。

思い切ってやるためには経験が必要です。最初から何の迷いもなくガンガン突っ込んで思い切り失敗しながら急速に成長できる人もいますが、だいたいの人は失敗に迷い、怯えながらおそるおそるやっていきます。
ただ大切なのは「苦手だから」「失敗するから」でやめてしまうのではなく、失敗の反省と小さな成功の手応えを何度も何度も繰り返しながら腕を磨き続けることです。なにごとも10年間やり続けたら、大成功はおさめないにしても、一応それなりのものにはなるなというのが私の実感です。

「思い切る」を辞書で調べると「1.諦める、断念する 2.覚悟する、決心する」とありました。迷う気持ちを思い切って大胆にやるということは、有望であった他の可能性を即座に諦めるということです。即決したことで失敗したとき「もっとしっかりと考えていれば…」と後悔することもあるでしょう。しかし慎重にじっくりと考えたところで結局は失敗するかもしれません。
私たちは産まれた時に膨大な数の選択肢を与えられており、それらを選び取り、諦めていくことで自分というものを組み立てていきます。そして、その選択にどれだけ時間をかけるかも一つの選択です。
クイズ番組のように明らかなタイムリミットが設定されているわけではないですが、迷っている間にも歳を取り、いつしか迷っているだけで終わりを迎えてしまうかもしれません。

思い切ってやることの後悔と、迷い続けることの後悔とのバランスが変わってきたことは、おそらく私自身の人生が、終わりを意識するものに変化している兆しです。

スポンサーサイト

Trackback

trackbackURL:http://ashitamoseishinkai.blog.fc2.com/tb.php/77-ec937ce0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。