明日も精神科医

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Posted by kobayashi_kei on

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医者を変えるために

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普段外来で診療をしていて、患者さんに面と向かって「先生の治療は信用できません。他の医者に変えてください」と言われることは、滅多にありません。つい昨日言われましたが。

その一方で初診の外来をしていて「いま診てくれている先生とどうしても合わなくてここに来ました。」と受診される患者さんはときどきおられます。大抵の場合前の主治医としっかりした話し合いはなされておらず、紹介状を持参して来られる方はほとんどいません。

この場合の対応は実は簡単ではなく、「わかりました。じゃあ今日から私が主治医になりますね」と安易に引き受けることはできるません。なぜならその患者さんと医師とのこれまでの治療関係が、患者さんの話だけではわからないからです。

多くの場合医師を変えたい理由として「医師が話を聞いてくれない」「薬が合わない」「薬がたくさん出されるのに全く説明がされていない」などを挙げられます。
どれもまっとうな理由ですが、はたしてそのドクターから自分に治療が交代したとして、その不満を解消できるかと言われると、正直かなり難しいです。
私の外来も初診は時間をかけられますが、2回目以降は5分程度になりますし、その人に100%効く薬を的確に出すことはできません。やむを得ず薬が多くなってしまった場合、すべての薬について簡潔かつわかりやすく効能と副作用を説明することも至難の業です。

そして何より「医師がなぜそのように思われる治療法にいたったか」がわからないと、おそらく同じことの繰り返しで、患者さんがドクターショッピングに走るだけとなってしまいます。そうなると結局一番つらい思いをするのは患者さんです。

本当になおざりな医療が行われているのかもしれない、実は誠心誠意の治療が行われているのにちょっとした食い違いがあったのかもしれない、ただ単に人としての相性が悪いのかもしれない、いろいろなケースが考えられます。
実際の治療関係を推察することは難しいですが、少なくとも医師と患者さんの間で治療方針について話し合われており、その上で医師を変更するための医師の意見があれば、こちらも安心して主治医を引き受けることができます。
実際にこうした患者さんから詳しい話を聞くと、明らかに自分よりも丁寧な診療をされているケースがほとんどです。そのときには再度元の医師を受診することを促し、「できたらその不満を今の主治医に伝えてみて、話し合ってもダメだったらまたここに来てください」とお伝えしています。


治療関係は人間関係です。例えばある異性に「あの人とは別れたから、あなたと付き合ってほしい」と突然申し出られたら、誰でも躊躇します。そこで相手に対する不満を述べられれば述べられるほど、注意深さはさらに増すでしょう。相手が感情的になり過ぎてていた場合、「もう一度相手と話し合ってみたら?」と勧めるのが大人な対応ではないかと思います。
どうにも下世話な例えですが、ニュアンスとしては多分かなり近いです。

そして実際の別れ話が難しいように、医師に対して率直に別れを切り出すことも非常に難しいです。私たちは自分が"先生"と呼ぶ人間を自分の意志で変更することを学校で教わっていませんし、和と礼節を重んじる民族は自己の権利を押し通して秩序を乱すことも苦手です。私自身も医者に向かって「あなたの治療は信用できないので医者を変えたいです」とはとても言えないような気がします。
しかし医師と患者はあくまで金銭による契約関係であり、不満を訴えることや別の医師のセカンドオピニオンを求めることは、当然になされるべき権利です。たいていの医師は自分が至らない治療をしていたことに反省こそすれ、患者さんを責めるようなことはしないと思います。


きっと私の外来にも、不満を抱えながらも言うことができずに、仕方なく通ってくれている人が何人もいると思います。「言われないと気付かない」「言われても気づかない」ような医師にならないよう、自身を常に諫めていきたいと思います。

かといって言われてもいないことを気にし過ぎても自滅してしまうので難しいところです。「あなた、私のこと本当に好きですか?」とか言ってくる医者は相当気持悪いですね。

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