明日も精神科医

スポンサーサイト

Posted by kobayashi_kei on

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

変態とは

Posted by kobayashi_kei on   0 trackback

あなたは他人から"変態"と言われたことがありますか?私はあります、何回か。

しかしこれまでの経験を思い返してみても、何を持ってして私は変態と評価(罵倒)されたのかがいま一つ腑に落ちていません。変態とは何なのか、なにがどうなれば人は変態となるのか、今回は可能な限り追及していきたいと思います。

まずインターネットの辞書で調べてみたところ

「変態(へんたい、metamorphosis):動物の正常な生育過程において形態を変えることを表す。昆虫類や甲殻類などの節足動物に典型的なものが見られる。」

とありました。これまでの人生でここまでのことをした記憶はないので、さらに関連項目を調べたところ

「変態性欲(へんたいせいよく、英語:Sexual Perversion):人間の性的行動や性欲のありようにおいて、正常と見なされない種類の嗜好を指す。大正時代から昭和初期にかけては、精神医学における用語でもあったが、現代では青少年育成条例などに法律用語としても用いられている。今日では、性的倒錯(paraphilia)も術語として使われる。」

とありました。どうもこちらの方が近そうです。"変態性欲"が"変態"に縮められ、現在の一般的な用語に変化したと思われます。ちなみに性的ないやらしさを表現する"H(エッチ)"という言葉は"HENTAI"の頭文字から派生しており、このことからも性的なニュアンスが多分に含まれていたことがわかります。

しかし今日び使用されている"変態"が"変態性欲"と完全に同義かと言われると、どうもそうではない気がします。少なくとも私はふだん自分の性的嗜好について吹聴しているわけではなく、私がどのように性的に倒錯しているかが周囲にバレているとも思っていないからです。
いつからかはわかりませんが、"変態"という表現は芸術やパフォーマンスの世界で好んで使われており、また単純に風変りな様相や嗜好を持った人を指すのにも使われているようです。

※変態的表現のわかりやすい一例 (Windowlicker -Aphex Twin- 1999)
http://www.youtube.com/watch?v=uP_3goBZj1Y

いわば"変わった人"や"変な人"の延長線上に"変態"という名称が存在し、無理矢理一直線上に並べてみると
(普通の人) 変わった人 → 変な人 → 変人 → 変態 → ド変態 → 変質者 (犯罪者)
といった感じになるのかなと思います。どこまでを許容するかは人それぞれと思いますが、ダイレクトに"変態"と言い切られた私はそこそこのランキングにいることが見てとれます。

では、"変態"いわゆる"変態性欲"は精神医学的に病気とみなされるのでしょうか?上記の辞書的な説明では「精神医学的な用語でもあった」とあり、実際に精神医学の有名な教科書にも"paraphilias(性的倒錯)"の項目はあり、フェティシズム、露出症、窃視症(のぞき)、ペドフィリア、サド・マゾヒズム、Hypoxyphilia(低酸素状態にオーガズムを感じる嗜好)など、写真を交えた非常に充実した解説が為されています。

しかし現実の医療において「私はどうにも変態過ぎて困っているんです」と精神科を受診する人はめったにおらず、臨床現場で病的な変態性を持つ人を治療する機会もほとんどありません。
あくまで"変態であること"は"自分が好きでやっていること"であるため、自主的に第三者による治療を望む人は少ないと思われます。そして極限までエスカレートしてしまった場合、行き着く先は警察であることが多く、あまり病院が積極的に関われていないことが現状です。
そのためか変態を治療する具体的な方法は確立されておらず、これを飲めば変態が治るという薬もありません。世の中は未治療の変態で溢れかえっているのです。


実際のところあなたの周囲にいったい何人の変態がいるか、あなたはご存知でしょうか?あなたの近しい人はいったいどの程度の変態なのでしょう?「あの人に限って絶対に変態じゃない」と言い切ることはできますか?
大抵の場合変態性はあまりオープンにするものではなく、ある程度特殊な業界でない限り、本格的な変態と接する機会もないと思います。
しかし実生活において変態と接する機会は少ないですが、映画や書籍の世界では頻繁に取り上げられる題材であり、数多くの個性的な作品が産まれています。ペドロ・アルモドバルやジョン・キャメロン・ミッチェル作品などは倒錯した性の現実から深淵な人間性を描写しており、未見の方はぜひ見ていただきたいところです。

そしてヤマシタトモコ「ドントクライ、ガール」もまた、高度な変態性をスマートな感性で描いた秀作として一読の価値があります。

ストーリーを端的に紹介すると、高級マンションに全裸で暮らす30代男性のところに女子高生(主人公)が同居することになるという話です。
主人公は受け止めきれない環境の中で常識とは何か、節度とは何かという深い葛藤にさいなまれ、男の方は天然の振りをした確信犯で女子高生を翻弄し、ギリギリのラインで自らの快感欲求を満たしていきます。

こう書くとものすごくいかがわしい雰囲気ですが、実際にはライトなノリの楽しい漫画です。
その一方で男の変態性は高度かつ理知的であり、またその変態性を手放さなければならないシーンの心理描写も見事に描かれており、非常に読み応えのある作品になっています。

この物語を通して感じることは、変態であることは変態にとって重要なアイデンティティであり、周囲の他人からは「あくまで一人の変態として尊重してもらう」ことを求めているように思います。
もちろんこの男性のように変態を謳歌している人間ばかりではなく、変態であることに社会的な危機感を覚え、変態をやめられないことに苦しんでいる人もいるかもしれません。それでも人からは「大丈夫、あなたは変態じゃない。」と励まされるよりも「あなたは変態だけど、大丈夫。」という形で受け入れられることを望むような気がします。
まったくもって面倒くさい限りです。


ここまでこの文章を書いていて「こんなことばかり考えてるから変態と言われるんだろうな」と思いました。
確かにこれは病院で治そうとは思いませんね、しょうがない。

ドントクライガール

スポンサーサイト

Trackback

trackbackURL:http://ashitamoseishinkai.blog.fc2.com/tb.php/20-5617fb87
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。