明日も精神科医

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悪い精神科医

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初めて病院に行くのは緊張します。
そこがどんなシステムの病院なのか、医者はどんな人なのか、どんな検査をするのか、どんな薬を出されるのか、「こんな程度で病院に来て!」と怒られたりしないか、法外な診察代を取られないか、など多くの不安が頭をよぎります。
さらに「もしかしたら今日ここで出会った医師に、今後の人生が決められてしまうかもしれない」と考えてしまうと、さらにプレッシャーがかかります。受診する気持ちすら挫けんばかりです。
だからこそ名医に出会い、最良の医療を受けたいと思うのは誰しもが考えることであり、どんなに待たされようと有名病院や大学病院を受診したがる人が多いのも仕方ないことなのかもしれません。

仮に私が患者として精神科を受診する場合も、やはり良い医者に診てもらいたい、少なくとも悪い医者には診られたくないなと考えます。
ではこの漠然と存在する"悪い医者"という概念。具体的にはどんな医師像を指すのでしょうか?
精神科で例を挙げると、人の話を聞かない、待ち時間が異常に長い、そのくせ診察が一瞬で終わる、病名がコロコロ変わる、説明が全然わからない、パソコンと会話しておりこちらを一切見ない、薬を大量に出す、大量に出された薬が何の薬か全くわからない、患者の要望を聞かない、患者が提案するとキレる、なんだか知らないけど常にキレている、冷たい、高圧的、ニヤニヤしている、異常に疲れている、汚い、臭い、震えている…等々いくらでも列挙することができます。
そしてこれらのほとんどは診察初期、早ければ出会い頭に得られる印象であり、"良い医者"、"悪い医者"のイメージを持たれるのにファーストコンタクトがいかに大事かを物語っています。

普段の人間関係でも言えることですが、その人間の印象を言葉で表現できるのは関係の最初のうちだけです。そこで形作られた良い、悪い、好き、嫌い等の評価を基に、複雑な情報が積み重なっていきます。付き合いが長く深くなっていくと同時に、その相手について言語化することは難しくなり、単純な言葉や感情を超えた関係が形作られていきます。そしてその根底を支えるのが、出会って間もない頃に作られた"イメージ"なのです。


ではそのイメージの壁を乗り越えることができ、めでたく"良いお医者さん"と患者さんから認めてもらえた医者が本当に良い医者なんでしょうか?
概ねそれでいいと思いますし、医師‐患者関係が円満かつ滞りなく治療が進むのならそれに越したことはないと思います。しかし一方で、そうも言っていられない部分もあります。

精神科医の仕事は残酷です。
自分は病気じゃないと話している人を強制的に入院させることができます。自分や他人を傷つける、危害を加える人に対しては部屋に鍵をかけて閉じ込めることもできますし、身体をベッドに縛り付けることもします。混乱している人に強い副作用を持つ薬を服用させて、会話ができるようになった頃に「あなたはこの先ずっとこの薬を飲まなくてはいけませんよ」と改めて話したりもします。
こうした強烈な人権侵害、暴力的な行為を"治療"の名のもとに日常的に行っているのが精神科の世界です。それはおそらく外科における手術や内科での抗がん剤治療などと同じく、リスクとベネフィットを天秤にかけて行われる行為なのですが、精神の世界ではやはり異質なインパクトを感じてしまいます。

精神科医はその存在そのものに悪を抱えています。どんなに評判の良い、誠実で温厚なドクターでも、そうした行為を行使する権利を持っており、毎日の診療の中で当たり前のように行っているのが現状です。
そしてこの悪行に伴う罪悪感は、経験を積むほどに驚くほど薄くなっていることを日々実感しています。

どんなに非人道的な行為でも、常識や正当性、ルーティンワークに組み込むことで簡単に人は埋没します。自身の行いに常に疑いの目を持ち、なにかに麻痺している自分を再確認し続けなければなりません。


自分を"良い精神科医"だと自負し始めたら、それはかなり危険な兆候です。

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まとめtyaiました【悪い精神科医】
初めて病院に行くのは緊張します。そこがどんなシステムの病院なのか、医者はどんな人なのか、どんな検査をするのか、どんな薬を出されるのか、「こんな程度で病院に来て!」と怒ら...
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