明日も精神科医

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Posted by kobayashi_kei on

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精神科医に憧れて

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黄熱病の研究で知られる野口英世は、幼い頃に火傷でくっついてしまった指を手術で治したことをきっかけに、医学の道に進んだと言われています。真偽のほどはともかく、立派な話です。
例えばある学生が一生懸命やっていたスポーツを通してスポーツ医学に触れ、そこから医師を目指すようになった。これも素晴らしい動機であり、誰もが応援してくれることでしょう。

それではある人が心の病気にかかってしまい、治療を受けていくうちに精神科医に憧れて、最終的に精神科医になったというエピソードはどうでしょうか?
目の前の医者に「私も実はうつ病だったんですよ」と言われたときに、上二つの例とは明らかに異なった、漠然とした不安感を感じる人は多いと思います。

医師としては同じ立場なのに、精神科とそれ以外の科でどうしてこんな差が出てしまうのか?そこにはおそらく精神疾患に対する世間一般のイメージ、そして精神科医に対するイメージが関係していると考えられます。

まずは精神疾患のイメージについて。たいていの場合、心の病気と言われると「治りにくい」とか「その人の人格そのものに問題があるのかもしれない」等と思われがちです。
これはまさにレッテルであり、人を"精神病患者"とみなすことで意識的、無意識的に低く見る傾向を表しています。猟奇的な事件が起きるたびに「精神疾患を持っていたかどうか」がメディアで大きく取り沙汰されることは差別をさらに助長しており、「犯人は自分たちとは違う人間」という安心感を与えることで、レッテルをさらに確固たるものにしています。
そうしたイメージから、目の前の医者が過去に精神疾患を患っていたことがわかったときに「本当にこの人に任せて大丈夫なのか?」という不安感が現れることが説明できます。

もちろん精神疾患といっても幅広く存在するため、なかなか治らない人もいれば、人格的な部分を問題として抱えている人もいます。しかし大抵の患者さんはいわゆる"普通の"生活を営んでおり、過去の病気にほとんど影響されずに過ごしている人が多くいるのも事実です。
そしてこうした人たちほど世間の偏見による誤解を受けやすく、ときに隠し、ときに戦い、不必要なストレスをこうむりながら生活していますん。イメージを覆すのは難しいですが、イメージだけで人を説明することは絶対できないと考えることが肝要です。人には良い部分も悪い部分もいくらでもあります。


次に精神科医のイメージ。個人的に精神科医と言われてパッと浮かぶ有名人はハンニバル・レクター、北杜夫、フォーククルセイダーズの北山修先生等ですが、やはり「人の精神を扱っている」というだけで独特のイメージがあります。初めて精神科を訪れる方でしたら「精神科医なんてきっと普通の人ではないし、もしかしたらものすごく変な人かもしれない」と思ってしまうのも仕方がありません。

そして実際に変わった人は多いです。特殊技能を持っていたり、様々なこだわりがあったり、キャラクターもだいぶ濃い傾向にあります。良くも悪くもおもしろい人が多いため、職場的にはかなり楽しいですが、オーソドックスな人が少ないという点では、患者さんによっては相性の合う合わないが顕著に出るかもしれません。
ただ、全ての精神科医について言えることは、数ある科の中から自らの意志で精神科を選択しているということであり、当然ですが精神科的なスキルや特性は高い人が多いということです。
そして尊敬し目標とする医師がいる精神科医はモチベーションが高く、優秀な人が多い気がします。過去に精神疾患の既往がある医師はどうしてもデリケートな雰囲気は否めませんが、その分患者さんに細やかな配慮ができる医師が多い印象です。


実際のところ、精神科医は他の科の医師に比べて精神疾患の罹患率は高いと言われています。
それは元々そうした気質の人が精神科医になりたがるからなのか、それとも精神科業務が精神に与える負担が大きいからなのか、おそらく両方だと思いますが、自らのメンタルのバランスを取りながら、日々の業務にあたっております。

この医者がどんな人間か?というのは患者さんにとって関心ごとであると思いますが、あまり深く知り過ぎることは人間的な関わりを深めてしまい、逆に治療の妨げになることもあります。かといって画一的なコミュニケーションだけでは成り立たないのが、精神科の難しいところです。。
感情を扱う医療だが、感情を介入させ過ぎてはいけない。憧れられない程度の医者が、精神科医としてはちょうどいいのかもしれません。

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