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美しいって大変

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誰よりも美しい人に出会いたい、誰よりも美しくありたい。
美は誰もの憧れであり、多くの人達(専ら女性)が自らの美を追求して生きています。街には化粧品、洋服、エステ、ファッション雑誌、ダイエット本等があふれており、いつの時代もその欲望を刺激し続け、世界を動かす原動力となっています。

そして、"美しさ"はあらゆる価値観の中で最も不安定で移ろいやすいものの一つでもあります。
時代、国、人種、世代、支持層、個人の趣味などあらゆるシチュエーションで大きく左右され、数値化することも不可能です。顔のパーツの形やバランスだけの評価ではなく、身体全体のプロポーション、声、しぐさ、性格、雰囲気など評価される要素も様々です。今の美人が一年後に全く違う評価になってしまうことも珍しくありません。

映画やテレビ、雑誌等のメディアはその曖昧な価値観と強すぎる欲望を巧みに利用し、常に新しい"美"を更新・提供し続けています。最近では"普通っぽくて美しい"とか言われたりもしており、だいぶ来るところまで来てしまった感もなきにしもあらずです。これから一体どうなっていくのか。

そんな現代の美のアイコンとなっている人たち、すなわち自分の美しさで世の中と勝負している人たちには、他の仕事とは比べ物にならないほどの喜び、不安、葛藤が渦巻いてるのではないかと想像してしまいます。
人から美しいと褒めてもらえること、憧れた世界で活躍できること、自分の美しさに社会的な価値が得られていることには相当なカタルシスがあることでしょう。
その一方で、自分は本当に美しいのか、この先も美しいと言ってもらえるのか、年老いることで自分はどう変化していくのか、若く新しい人にどんどん追いやられていくのではないか、美しいとはそもそも何なのか、といった不安は常につきまとい、戦々恐々とする状況も想像に難くありません。
いつまでも美の世界で戦い続けたい人、自分の美を一時的な消耗品として割り切り、次の人生を考えている人、その執着によってストレスのかかり方は変わってくると思います。どちらにせよ気楽な仕事ではなさそうです。

社会の不安定な価値観を拠り所に生きていくことは、透明なガラスの道を歩いて行くようなイメージです。カイジにそんなシーンがありましたね。その道は登っているかもしれないし、下っているかもしれない。気がついたら思いきり逸れていたり、道そのものがなくなっているかもしれない。ガラスの厚さが急に変わり、踏み破って落下してしまうかもしれない。見えない中で慎重かつ大胆に歩き続けることが要求されます。
そう思うと相当な勇気の持ち主か無謀な人間、もしくは未来に全く興味がない人でしか続けられないのではないかと改めて想像してしまいます。


しかし一方で、どんなに"安定した"生き方でも、絶対的に安心・安全な未来はどこにも保障されていないのも現実です。
例えば現在私は自分の知識や技術、そして資格といった価値を利用して生計を立てています。これまではなんとかやれていましたが、もしかしたら明日うつ病や統合失調症を発症してしまうかもしれない。その可能性は全くゼロではなく、私自身のスペックは大きく落ちてしまうでしょう。社会構造の変化により医療への価値観が急落するかもしれないし、家庭的な都合で大きな制約がかけられるかもしれない。
そう思うと未来へのリスクはどんな人生にもあり、その程度に差はあっても根本的には大きく変わらないのかもしれません。


誰もが憧れる仕事の大変さについて思いを巡らせてみましたが、結局将来の不安は誰にでもあり、当事者はあまりとらわれ過ぎすにやり過ごしていくしかないのかと思います。そうしないと病気になってしまう。
ときどき「医者って大変でしょうね」と言われますが、それと同じ感覚で「女優さんって大変でしょうね」と言ってしまうか気がします。きっと自分が言われた時と同じような、微妙なリアクションが返ってくることでしょう。

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